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「男系維持」ウラにある「保守しぐさ」…改正皇室典範の施行は世界の流れと真逆の動き(東京 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/10/25 (Sun) 14:35:12

「男系維持」のウラにある「保守しぐさ」…改正皇室典範の施行は世界の流れと真逆の動きに:東京新聞デジタル
https://www.tokyo-np.co.jp/article/523726





〈皇室典範再点検〉①=全③回

 7月に成立した改正皇室典範が24日、施行された。世論調査などから改正に国民の理解が広がっているとは言い難く、市民や専門家から再改正を求める声も大きい。すぐにでも議論を再開する必要はないのか、審議の過程で見えた問題を改めて検証する。

◆小林鷹之氏「皇位の男系継承は先人たちが守り抜いてきた伝統」

 「皇室や皇位のあり方を巡る政治的な主張が、恣意(しい)的に語られるのではなく、学術的研究成果を尊重したものであることを強く求めます」

 8月、古代史を研究する大学教授のグループ「皇室・皇位をめぐる議論に関する研究成果の尊重を求める古代史研究者の会」(代表幹事・古市晃神戸大教授)が懸念の声明を出した。問題視したのは、1カ月前に成立した皇室典範改正に関する国会審議の発言だ。

 自民党の小林鷹之政調会長は「皇位の男系継承は2600年以上にわたり先人たちが守り抜いてきた皇室の伝統だ」と訴え、山谷えり子参院議員からも同じ内容の発言があった。こうした趣旨の発言は「日本書紀」を基とし、紀元前660年に当たる年に初代の神武天皇が即位し男系により皇位が継承されたとする。

 だが研究者の会は「考古学の研究成果では、紀元前660年は縄文や弥生時代で日本列島に文字を使用する文化はなかった。この年に大きな歴史的変革があるという中国の思想に基づいて創作されたことが、19世紀末に明らかにされている」と指摘。現在の天皇陛下につながる地位が継承されるのは「6世紀以降とするのが通説的な見解」としている。

 改正皇室典範は自民など与党が推進し、声高に強調する男系の皇位継承を維持する内容になった。国会での専門的な審議は衆参両院とも実質1日限りの数時間で終了。有力な史実と齟齬(そご)がある主張が展開されても止まることはなく、「数の力」で押し通された。一方で、女性天皇の可能性については「皇位継承にかかわる議論は今はするべきではない」として回避された。

◆1889年の旧典範制定まで皇位継承を明文化したものは見当たらず

 史実との齟齬を気に留めるそぶりもなく、小林氏らは「男系による皇統維持の努力を続けてこられたことは間違いない」と強弁する。しかし1889(明治22)年の旧典範制定まで皇位継承を明文化したものは見当たらない。旧典範も草案段階で「どうしても跡継ぎがいなければ女系で継ぐことができる」と検討しており、「男系継承が絶対ではなかった」とみる専門家の意見がある。

 男系への強いこだわりの背景を、神道学者で皇室研究者の高森明勅(あきのり)さんは「学問研究の成果は横に置き、保守界隈(かいわい)の空気に合わせようとしている。皇室の危機を直視せず、保守層の支持や党イメージの維持のために『保守しぐさ』が求められ、****参拝や憲法9条改正などとセットで男系継承も語られる」と説く。

 高森さんは江戸時代まで女性天皇が存在したことや、明治期以前は生前退位も特別ではなかったと指摘し「富国強兵の明治期に求められた『武装した天皇制』に近づけることが伝統で、外れがないという、思考停止の保守しぐさになっている」とみる。

◆8月にリヒテンシュタインも法改正、女性の継承権が認められる

 世界の王室に目を向けると、日本と潮流は真逆だ。欧州のリヒテンシュタインの公爵家は8月、国家元首となる公爵位の継承について、男子限定から性別を問わずに第1子優先とする法改正を採択したと発表。これにより欧州の世襲制の立憲君主国全てで、女性も継承権が認められた。

 「伝統の見直し」の背景には安定的な王位継承という観点に加え、男女平等意識の高まりもある。1979年の国連総会で「女性差別撤廃条約」が採択され、同年にスウェーデンが「長子優先」とすると周辺国も次々に制度を変更。男子限定を続けるのは一夫多妻を認めるイスラム圏が中心だ。

 国連の女性差別撤廃委員会は2024年、男系男子に皇位継承を限る日本に対し、皇室典範の改正を勧告した。今回の改正内容を見て、勧告方針は「日本が対応するまで維持される」との構えを崩していない。(この連載は井上靖史が担当します)



 改正皇室典範 改正の柱は、1947年に皇籍を離脱した旧宮家の男系(父方の血統が天皇につながる)男子を対象に皇室との養子縁組を認め、女性皇族は一般男性と婚姻後も皇室に残れるようにした。養子の子が男子なら皇位継承資格を持つ。一方、女性皇族の夫や子は皇族とならないため、男子による皇位継承の継続を図った男系偏重との批判が強い。衆参各院の委員会は「安定的な皇位継承を確保するための方策を引き続き検討する」との付帯決議を採択した。


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