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もはや個人情報「1億総流出社会」…不正アクセス次々発覚 ある男性が驚いた「精度が(東京 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/10/20 (Tue) 13:59:18

もはや個人情報「1億総流出社会」…不正アクセス次々発覚 ある男性が驚いた「精度が上がった」詐欺電話:東京新聞デジタル
https://www.tokyo-np.co.jp/article/522615





 企業などへの不正アクセスによる個人情報流出が連日報じられ、不安が広がっている。セキュリティー会社の集計によると、今年に入り、公表ベースで延べ1億8000万件超の規模で漏えいした恐れがある。カーシェアリングサービス「タイムズカー」の運営会社が、退会者の情報を保持し続けていた運用を見直すなど、個人情報を抱え込む企業のリスクもあらわに。これから起こり得る被害に何ができるか。(松島京太、佐藤裕介)

◆「どう対策していくか、国が専門家を集めて考えてほしい」

 セキュリティー会社「マクニカ」の集計によると、今年1月から今月19日までに個人情報が漏えいした可能性がある公表事案は165件となり、漏えいの恐れがある個人情報は合わせて延べ1億8700万件余に上った。2024年の356万件余、2025年の3345万件余を大きく上回るペースで推移している。

 企業の業種や規模にかかわらず、連日ニュースで報じられる個人情報の流出。被害の恐れがある人たちに「こちら特報部」が取材すると、半ば諦めに近い声が聞こえてきた。

 一部会員情報が流出した電子コミックサイト「コミックシーモア」に登録していた東京都杉並区の40代男性会社員は「やっぱり怖い。これだけ大手が次々と不正アクセスされていたら、もう守れないじゃんって思う。起きたことは仕方ないので、悪用されないようにどう対策していくか、国が専門家を集めて考えてほしい」と求める。

 都内在住のウェブデザイナーの40代女性は、仕事で使用するソフトの運営会社が不正アクセスを受けたという。「誰も何もできない状態なんじゃないか。今は個人情報が中心だけど、クレジットカードの悪用とか金融機関への不正アクセスで金銭被害が出るのだけは防いでほしい」と嘆いた。

◆「これまでかかってきていた詐欺電話とは明らかに毛色が違った」

 個人情報が漏えいした影響は既に出ているかもしれない、と警戒する人もいる。「これまでかかってきていた詐欺電話とは明らかに毛色が違った」。東京都港区に住むフリーランスの40代男性が振り返る。

 「暇な時に詐欺電話の相手を問い詰めてからかうのが趣味」という男性だが、9月中旬に自宅にかかってきた電話には不気味さを感じたという。自動音声に従ってダイヤルを操作すると「郵便局関係者」を名乗る若い男が出て、「あなたが送った郵便物から違法なものが出てきたので警察につなぐ」と語りかけてきた。

 男性は「これまではランダムでかけているのか、こちらの名前も住所も知らない様子だった。しかし、その電話は最寄りの郵便局と警察署を言い当て、名前や年齢も知っているとほのめかしてきた」と述べ、相手の情報の精度が上がっていたと指摘する。警察署の部署名などがあいまいで「それおかしくないですか」と問いかけると、電話は切れたという。

 後日、男性の元に「タイムズカー」から、運転免許証画像を含む個人情報が流出した可能性を知らせるメールが届いた。「住所や生年月日が知られているということは、免許証画像流出が原因なのではないか」と心配する。企業の情報流出が連日公表されるが、氷山の一角かもしれない。男性は「誰しも何かしらの情報が流出しているのではないか。もはやこれは『1億総流出社会』だ」と語る。

◆運転免許証の画像「他の情報流出とはレベルが違う」

 19日も百貨店の運営会社などで公表が続いた不正アクセスによる顧客情報漏えい。約660万件の顧客アカウントの情報が流出した「タイムズカー」の事案では、さらなる被害が懸念されている。うち約160万件に運転免許証の画像などの本人確認書類が含まれるとされるためだ。

 被害者の集団訴訟サイトを開設した牧野裕貴弁護士によると、サイト上などに寄せられた被害者数は19日現在で9万人を超えた。今回の情報流出との因果関係は不明だが、「クレジットカードを不正に利用された」「ショッピングローンを勝手に組まれた」といった被害の相談も寄せられているという。

 牧野氏は「免許証はさまざまな場面で本人確認書類として利用されており、他の情報流出とはレベルが違う」と深刻さを強調する。

◆「単なる謝罪で済まされる問題ではない」

 運営会社は顧客の退会後も7年間にわたり本人確認書類の画像を保管し、被害拡大に影響したとみられる。運営会社は流出の公表後、会員登録完了後に直ちに本人確認書類の画像を削除するルールに変更したが、牧野氏は「単なる謝罪で済まされる問題ではなく、運営会社の法的責任を追及していかなければならない」と話す。

 流出した個人情報はどう扱われる可能性があるのか。日本ハッカー協会の杉浦隆幸代表理事によると、闇サイト上では、エステサロンなどの予約サイトから最近流出したとみられる氏名や住所、電話番号など約3300万件の個人情報が7万ドル(約1100万円)で販売されているほか、タイムズカーとの関連性は不明だが、偽造された運転免許証が1000ドル(約16万円)程度で販売されているという。

 不正アクセスを行う攻撃者の目的は何か。杉浦氏は「(個人情報を)取れる間に取れるだけとろうとしているのではないか」「金銭目的や、特定の国の政府からの依頼を受けている可能性もある」とみる。

 セキュリティー会社「トレンドマイクロ」のエバ・チェン代表取締役社長兼CEOは19日、都内で会見し、不正アクセスの発生ペースが非常に速いなどとして「(攻撃側は)AI(人工知能)を利用している」と指摘した。日本企業を攻撃する側にとっては、これまで日本語が障害となっていたが、現在は「AIは日本語を完璧に話せる」と強調。相次ぐ不正アクセスの背景にはAIの進展もあるとの見方を示した。同社はこの会見で、法人を対象にAIを活用した防御サービスを提供するとし、個人向けの詐欺対策アプリの90日間の無償提供も公表した。

◆複数の要素で本人確認する「多要素認証」なども有効

 情報漏えいの危機に対し、企業はどう向き合うべきか。セキュリティー会社「ラック」の倉持浩明取締役CTO(最高技術責任者)は、各企業はもう一度公開中のウェブサイトの点検を行うべきだと強調。顧客から得る情報を「必要最低限なものに見直していくことも必要だ」とも指摘した。

 個人ができる対策としては、今後送付されるメールに対し「『詐欺かもしれない』との『危機感』を持つことが大切」と倉持氏。氏名や誕生日といった予測されやすい情報を使ったパスワードを使い回さないことや、複数の要素で本人確認する「多要素認証」の利用なども有効だという。

 法制度を見直す必要はないのだろうか。

 個人情報保護法は、過去にサービスを利用した個人の情報について、退会などで不要になれば速やかに消去するように求めるが、現在は努力義務にとどまっている。先の牧野氏は「努力義務だけでは(個人情報を)持ち続けてしまう企業も多いのではないか」とする。退会者の情報が流出したタイムズカーの事例もある。「消去を義務づける規定の導入も検討するべきだ」と述べた。



◆デスクメモ

 タイムズカーからおわびメールが届いたことで、コロナ禍の一時期だけ利用し退会したことを思い出した。現時点では自分のどの情報が漏れたかは分からない。問い合わせようにも、また氏名や住所を差し出さないといけないのでためらう。しばらくは疑心暗鬼の日々が続きそうだ。(恭)


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