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「法の支配」(ICC)と「力による支配」(トランプ)がせめぎ合っている。これは(澤藤 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/10/11 (Sun) 14:58:30

「法の支配」(ICC)と「力による支配」(トランプ)がせめぎ合っている。これは、「法と無秩序」「文明対野蛮」「平和と戦争」の対立でもある。(澤藤統一郎の憲法日記)
https://article9.jp/wordpress/?p=22690





「法の支配」(ICC)と「力による支配」(トランプ)がせめぎ合っている。これは、「法と無秩序」「文明対野蛮」「平和と戦争」の対立でもある。
(2026年10月10日)
 昨日(10月9日)は、ノーベル平和賞受賞者発表の日。よもや、トランプということはあるまいが、もしやICCあるいは赤根智子氏の受賞があるのではないかと発表を待ちかねた。

 昔、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞したとき、思い知った。ノーベル賞とは、その程度のものなのだ。しかし、一昨年被団協がノーベル平和賞を勝ち得たときには考えなおした。ノーベル平和賞が、世の中の反核運動への評価を大きく変えたからだ。確実に反核運動への賛意を拡げ、被爆者への敬意さえ作り出した。
 ICC・赤根智子所長の受賞を強く期待したが、期待の通りにはならなかった。しかし、結果は満足すべきものとなった。

ノーベル平和賞は南アフリカ出身のナビ・ピレイ氏が受賞した。「平和と国際法の推進への取り組みを評価」されてのことという。ノーベル平和賞委員会は、同氏について、法律の分野で示してきた「並外れた勇気と誠実さ」、「普遍的な法原則を守る姿勢や確固たる倫理観は、長いキャリアを通じてぶれることがなかった」と称賛した。

 さらに特筆すべきは、ノーベル賞委員会のフリードネス委員長は、国際刑事裁判所(ICC)の判事を務めた際、ピレイ氏は「法的手段が戦争行為や暴力の防止に役立つことを示した」と説明。「国際法を支える制度の強化にも貢献した」「ピレイ氏は国家や国の指導者の責任を追及し、暴力や紛争の被害者に希望をもたらした」と評価したことである。明らかに、ICCの現状を意識しての発言である。

 ピレイ氏の受賞のコメントも、焦点の定まった感動的なものとなった。
 「私たちは今、国際法と人権が重大な政治的攻撃にさらされている時代を生きています。こうした状況の悪化は、ICCへの攻撃に特に顕著に表れています。

 いま私たちが目にしている、国際刑事司法を弱体化させようとする試みは、ニュルンベルク裁判以来、長い年月をかけて築かれてきた進歩を危険にさらしています。そしてそれは、法ではなく力が、誰の苦しみが重要と見なされるかを決める世界へと私たちを逆戻りさせる危険があります。

 この賞によって、法の支配を守り、独立した司法を守り、恣意的な選択ではなく原則に基づく国際法秩序を守るために、私たちが一致団結しなければならないという確信はさらに強まりました。」

 しかし、この日は、目出度いことばかりではなかった。「法の支配」への敵対勢力から、露骨な攻撃が行われた。

 まずはプーチンが、オランダなどに、赤根氏の身柄引渡を要求した。そしてまたまたトランプである。ICC本体に制裁を加えるとした。狂気の沙汰というほかはない。これでトランプは世界の歴史に悪役としての名を刻んだことになる。

 本日(10月10日)、「トランプ制裁」に対するICCの反論声明が報道されている。その全文を記しておきたい。 ***********************************************************
 ◇国際法秩序の根幹に対する「攻撃」
 本日、米国は国際刑事裁判所(ICC)そのものに対して制裁を科した。この前例のない措置は、正義の実現に尽力する13人の独立した裁判官および検察官に対する一連の指定措置に続くものである。

 今回の措置が標的にするのは、条約に基づき設立され、ジェノサイド(集団虐殺)、人道に対する罪、戦争犯罪、および侵略罪の捜査・起訴を125の締約国から委ねられている独立した司法機関だ。

 これは、司法の過程を妨害し、ICCが果たそうとするその設立目的を阻もうとする試みだ。法の支配、そして国際法秩序の根幹に対する攻撃であり、「いかなる者も法を超越することはできない」という単純な原理を揺るがすものである。

 ◇ICC維持は締約国の「決意次第」
 今回の制裁指定は、裁判所の運営を妨害し、裁判所で働く人や協力する人を威嚇することを目的としている。
 しかし、ICCは決して屈することはない。ICCの赤根智子所長は「当裁判所は、重大な犯罪の無数の犠牲者のために、法と証拠のみに基づいて行動し、独立性と公平性を保ちながら、今後もその任務を完全に遂行し続ける」と述べた。
 しかし、ICCは単独では立ち行かない。その運命は今や、ICCを創設した加盟国の手にも委ねられている。

 (ICC設立の根拠となった)ローマ規定は、国際社会全体が関心を寄せる最も重大な犯罪が、決して処罰を免れてはならないという集団的な約束である。その約束を果たせるかどうかは、それを交わした者たちの決意次第である。

 ◇歴史がいずれ、この瞬間を「裁く」

 課題があるかもしれない。しかし、ICCは締約国と協力し、活動の継続性と強じん性を確保するために多大な努力を重ねてきた。

 ICCは、活動を継続するために必要な手段を今後も確保できるよう、各国に対し具体的な措置を引き続き講じるよう呼びかけている。これは単なる一つの機関を守るということではなく、法の支配に基づく国際秩序を守ることだ。

 いかなる者も、正義の実現に奉仕することで罰せられるべきではない。歴史がいずれこの瞬間を裁くことになるだろう。

 将来の世代、とりわけ大量残虐行為の被害者たちは、自分たちを守るために創設された機関が攻撃を受けた時、私たちがどのように対応したのかを問うことになる。

 彼らは、ICCが揺るぎない姿勢を貫いたのか、国際社会は自らが掲げた原則を擁護したのか、それとも圧力の下でそれらを放棄してしまったのかを問うことになるだろう。 **************************************************************
✦ICCをめぐって今何が起きているのか(ほぼ時系列)
・2023年03月17日 ICC、戦争犯罪の疑いでプーチンの逮捕状を発布。
(25年12月12日 モスクワの裁判所は、赤根智子所長ら9人に対し本人不在のまま懲役3年6月~15年の有罪判決を言い渡し)
・2024年03月11日 赤根智子氏ICC所長に就任
・2024年11月21日 ICC、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に対し、人道に対する罪と戦争犯罪の容疑で逮捕状を発布。
・2025年01月20日 第2次トランプ政権発足
・2025年02月06日 米大統領令14203号
「ICCが米とその同盟国を標的とした不当で根拠のない行動を取った(ネタニヤフらに対する逮捕状)」「米の戦争犯罪について予備調査を開始した」「ICCの対応は米国の主権を侵害し国家安全保障・外交政策上の業務を損なう」「米兵が『反米的な法廷』で見せしめの裁判にかけられることを許さない」
・2025年02月07日 ICC抗議声明 「職員をしっかりと支え、残虐行為の犠牲となった何百万人もの罪のない人々に正義と希望を与え続けることを誓う」「加盟国をはじめ全ての国々に、正義と人権のために団結するよう呼びかける」
・2025年02月07日 ローマ規程締約79(後に88)か国が制裁反対の共同声明。
「ICCは国際正義システムにとって重要な柱」「ICCの独立性・公平性・公正さに対する継続的な支持を再確認」「制裁措置は、最も重大な犯罪に対する(有罪懲罰回避)のリスクを増大させ、国際的な法の支配を侵食する」
・2026年08月11日 4団体提訴
・2026年08月18日 ルビオ国務長官 赤根智子所長制裁の対象に指定と発表
(制裁対象者は18人の裁判官のうち9人と、元首席検事・副検事2人らに拡大。対象者の入国停止。本人と家族の米国における財産・資産の凍結)
・2026年08月19日 ICC抗議声明。「独立に対する明らかな攻撃」「制裁は被害者の司法アクセスを損ない、国際司法制度の信頼を揺るがす」「司法担当者が法を適用する脅迫を受けているとき、国際法秩序自体が危険にさらされる」
・2026年09月22日 トランプ国連総会で演説。ICCを「制御不能な機関」「邪悪な人々の集団」とし、「ICCの加盟国すべてに正式に脱退するよう求める」
・2026年09月23日 高市、国連総会一般討論演説。トランプ批判なし。
・2026年09月29日 ICC締約国会議議長団、ニューヨークの国連本部で開催する予定だった今年の締約国会議について、開催地をオランダのハーグに変更すると発表。​日程は11月30日~12月7日。
・2026年10月09日 元ICC判事ピレイ氏にノーベル平和賞。同氏連帯の声明。
  同日 トランプ、ICCに制裁。ICC反論のコメント。


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