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〈社説〉選挙制度改革を考える 民意切り捨て許さない:東京新聞デジタル - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/28 (Mon) 11:21:01

https://www.tokyo-np.co.jp/article/518153?rct=editorial





 80年前の1946年4月に行われた戦後初の衆院選は、日本の女性が初めて参政権を行使し、39人の女性国会議員が誕生した選挙として歴史に刻まれています。

 一方、この選挙が特異な「大選挙区制限連記制」という制度で行われたことは、あまり知られていないのではないでしょうか。

 都道府県単位(人口が多い7都道府県は2分割)で定数4~14の大選挙区を設け、有権者は定数に応じて2~3票を投じました。

 それまでと同じ中選挙区制(定数3~5)では戦前・戦中と同じような議員が当選することを危惧した占領軍が異なる制度で行うよう日本側に指示したからです。

 この選挙を行うための法案を審議した帝国議会では、大選挙区を設けるなら、比例代表制にすべきだとの意見が相次ぎました。

◆比例代表は究極の理想

 当時の堀切善次郎内相は比例代表制を「究極の理想」としつつ、戦後の混乱期などを理由に「時期尚早」と説明。「適切なる提案は今後の研究に俟(ま)つことにした」と答えています。

 大選挙区で複数の票を投じたのは46年の1度だけ。次の衆院選から中選挙区制に戻り、女性議員も激減しました。究極の理想とされた比例代表制が衆院選に導入されたのは半世紀後の96年です。

 選挙制度は、最多得票者が当選する多数代表制と、政党などの得票割合に応じて議席の配分が決まる比例代表制に大別されます。多数代表制では当選者1人に民意が集約され、2位以下の得票は「死票」となる一方、比例代表制は2位以下にも議席が配分され、多様な民意が反映されます。

 96年の衆院選から導入された現行の小選挙区比例代表並立制は、多数代表制と比例代表制を組み合わせた制度です。政権交代可能な政党本位の選挙制度にするために小選挙区制が導入され、併せて中小政党への配慮や激変緩和などから、多様な民意を反映する比例代表も設けられました。

 中選挙区制が比例代表と同様、複数の当選者が選ばれる制度であることを考えると、衆院の選挙制度には、常に比例代表の性格が組み込まれてきたとも言えます。

 96年衆院選の定数は小選挙区300、比例200で比例の比率は40%。2000年に比例を20削減した後、「1票の格差」を小さくするための定数是正が行われ、現在の定数は小選挙区289、比例代表176で比率は約38%です。

◆議席集中「翼賛」並みに

 10月5日召集予定の臨時国会では、日本維新の会が自民党に対して連立参加の条件として実現を求めた衆院定数削減法案の成否が焦点となります。

 先の特別国会に提出され、継続審議になっている法案は、施行後1年以内に与野党間で選挙制度の議論がまとまらなければ、比例定数を自動的に45削減する乱暴な内容です。その場合、比例定数の割合は約31%に落ち込みます。

 比例の割合が減り、小選挙区の割合が増えれば、民意を反映する機能は当然弱まります。

 本紙が今年2月の衆院選結果を基に試算したところ、与党の議席占有率は75%から80%超に上昇。戦時中、東条英機内閣の戦争遂行に賛同する議員が8割以上に達した「翼賛選挙」に匹敵する、民意の偏りを招く恐れがあります。

 衆院選に現行制度が導入されて30年がたち、小選挙区制の弊害が指摘されています。自民党は12年衆院選で圧勝し、政権復帰しましたが、第2次以降の安倍晋三政権では政権中枢に権力や権限が集中し、首相ら政権幹部への「忖度(そんたく)」も指摘されました。民意を過度に集約する小選挙区制に起因することは否定できません。

◆失敗だった小選挙区制

 現行制度の導入を決めた1994年当時、野党自民党の総裁だった河野洋平元衆院議長は衆院の口述調査に「小選挙区制は失敗だった」と明言しています。

 投票価値を巡る「1票の格差」の問題が生じやすいのも小選挙区です。定数を減らすのではなく、増やした方が格差は是正しやすくなります。与党などが主張するように、比例定数を削減して小選挙区の割合を増やすなら、現行制度の弊害は取り除かれるどころか、さらに助長されかねません。

 選挙区を都道府県単位などに拡大して定数を複数とし、比例代表もしくはそれに近い投票方法にすれば、小選挙区制に起因する弊害が減り、1票の格差を小さくすることもできます。

 国会議員自ら身を削る必要があるというなら、1人あたり月100万円の調査研究広報滞在費や年315億円余りの政党交付金の削減にまず手を付けるべきです。

 民意を切り捨てる制度「改悪」を傍観することは許されません。


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