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国家権力はウソをつく ガザ・2023年10月7日の教訓は… ジャーナリズム、市民が平和を(東京 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/21 (Mon) 15:10:45

国家権力はウソをつく ガザ・2023年10月7日の教訓は… ジャーナリズム、市民が平和を守る「砦」に:東京新聞デジタル
https://www.tokyo-np.co.jp/article/516325





〈本音のコラム+〉師岡カリーマ(文筆家)

 「ゴキブリ1匹通れない」。最新の監視システムに守られたイスラエルの国境はそれほど強固なのだと豪語したのは、実際に警備に当たった同国の兵士だった。ガザに面したその国境を、数千人といわれるハマスなどの戦闘員が大挙して突破、イスラエルで約1200人を殺害し、251人の捕虜をガザに連行したのが、2023年10月7日。

 その直後、イスラエルはガザに対して新たな大規模攻撃をしかけ、約3年間で多くの子どもを含む少なくとも7万3000人が死亡するという大量殺戮(さつりく)を行った。警備兵に見つからずにはゴキブリ1匹通れないはずの国境を、なぜ一気に数千人が越えられるのか、という疑問は、これまで何度も投げかけられてきた。

 これに関連し、イスラエル国内から新たなスクープ。有力紙ハーレツによれば、10月7日の攻撃の約10日前、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ザイド大統領が、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、ハマスが近く大事件を起こす計画らしいと警告したというのだ。でもネタニヤフは動かなかった。無能なのか。それとも、自らの汚職裁判を回避する絶好のチャンスと見て、ハマスを泳がせたのか。あるいは、ガザを破壊する口実と見て飛びついたのか。

 ヒントとなり得るのが、ハーレツ紙のもうひとつのスクープだ。ハマスは10月7日、つまり攻撃当日、民間人捕虜を無条件で釈放する用意があると、カタールを通じて伝えてきたというのだ。想像するに、暴走した戦闘員が大量の捕虜を連れ帰ったのに対し、ガザのハマス幹部は250人など手に負えないと焦ったのではないか。しかしスクープによれば、オファーを受けたイスラエル・米国両政府はこれも聞き流した。

 「捕虜が帰還すれば戦争は即刻終わる」。ガザの民間人の上に爆弾が降り注ぐ中、ネタニヤフは、そして米国政府幹部は、繰り返しそう言った。実はハマスが最初から捕虜を返す(というか、恐らく本音は、返したい)と言っていたとすれば、7万超のパレスチナ人だけでなく、多くのイスラエル人捕虜の命も、ネタニヤフは簡単に救えたのに、あえてそうしなかったということになる。国民の生命を犠牲にしてでも、破壊と殺戮と保身を選んだということになる。

 選挙を控え、ただでさえ支持率ガタ落ちのネタニヤフは報道を否定、ハーレツ紙を訴えると猛反発している。一方、以前からネタニヤフに批判的なハーレツ側は、報道の根拠として、イスラエルの元政府高官を含む、内外の情報筋を挙げている。(なお、ビン・ザイド大統領が警告したという報道が事実かどうかについて、UAEはコメントを差し控えた)。

 二つ目のスクープについて言えば、たとえ「10月7日にはすでに」という日付が正確ではないとしても、思い返せばハーレツは、「停戦」までの2年間、何度も「ハマスが捕虜釈放の申し出」と報じていた。いや、たとえハマスが釈放を申し出なくても、イスラエル人捕虜がいるガザにイスラエル軍が爆弾を落とすこと自体、正常な神経ではありえない。そして、あれだけの規模で人間を破壊して平然としていること自体、正常な神経ではありえない。

 ハーレツ紙に肩入れするのが本意ではないが、今回の報道が改めて思い出させてくれること、それは、国家権力は国民に戦争を売りつけるために、そして戦争で国民を売り飛ばすために、巨大なうそをつくということだ。そして国家権力がひた隠す真実を暴くというジャーナリズムの仕事は、いや、暴かれることを常日頃から恐れさせるジャーナリズムの存在はすなわち、ジュリアン・アサンジ氏がかつて言ったように、平和を守るということなのだ。このかけがえのない平和の砦(とりで)は、ゴキブリ1匹見逃さない監視システムよりも、ずっと効果的であるはずだ。

 どちらかひとつと言われれば、私は迷わず前者を選ぶ。私たちは、意見の相違にかかわらず、平和の砦たる真のジャーナリズムを権力の横暴から守るということを、成熟した市民の使命としてもっと意識し、そうして市民自身が平和の砦になり得ることを、子どもにも教育するべきだろう。

 ◇

国家権力はウソをつく ガザ・2023年10月7日の教訓は… ジャーナリズム、市民が平和を(東京 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/21 (Mon) 15:13:57



ネタニヤフ氏を巡るスクープを報じる有力紙ハーレツのサイト(スクリーンショット)
https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=516325&pid=2765195

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