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〈社説〉アメリカ産の生鮮ジャガイモ輸入 病害虫拡散は許されない:東京新聞デジタル - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/16 (Wed) 14:30:50

https://www.tokyo-np.co.jp/article/515752





 農林水産省が、米国産生鮮ジャガイモの輸入解禁に向けた手続きを進めている。市場開放を求めるトランプ米政権の圧力が要因だ。農水省は主要産地の北海道などで進捗(しんちょく)状況の説明会を始めたが、生産者からは病害虫の拡散を懸念する声が上がった。議論が不十分なまま結論を急ぎ、国内生産や食の安全を脅かすことがあってはならない。病害虫リスクが払拭されない限り全面解禁すべきではない。

 生鮮ジャガイモは付着した土とともに病害虫が持ち込まれる恐れがあり、日本は輸入を禁止してきた。米国は長年にわたり解禁を求めており、ポテトチップス向けの加工用に限って2006年から輸入を認めているが、米国で病害虫が確認され、一時中止したこともある。米国は第1次トランプ政権の2020年、生鮮ジャガイモの全面解禁を要請。農水省が検疫の国際ルールに基づき検討を続けてきた。

 国内生産の8割を占める北海道は、病害虫に振り回されてきた歴史がある。2015年に網走市で、根に寄生して成長を阻む「ジャガイモシロシストセンチュウ」を国内で初めて確認。卵は乾燥や低温に耐えて長期間生き延びるため、10年以上たっても根絶できていない。

 輸入品がスーパーなどの店頭で販売されれば、種芋として家庭菜園に植えられ、広範囲に拡散する可能性もある。北海道での説明会で、農業関係者から「リスクゼロにならない限り進めるべきではない」などと、慎重な検討を求める意見が相次いだのは当然だ。

 輸入解禁に向けた手続きは、間もなく最終段階に入る。農水省は米国との検疫措置の協議が必要な病害虫21種を8月に特定。関係者への説明を終えた後、病害虫のリスク管理を検討する。検疫措置案や解禁条件などの策定を経て、関係省令を改正する流れだ。

 ジャガイモは鹿児島、長崎、茨城、千葉などの各県でも生産が盛んで、国内自給率は約7割。エネルギー源としても重要な作物で、食料安全保障の観点からも国内の産地を守る必要がある。

 病害虫のリスクを十分に認識しているはずの農水省が、米国への配慮を優先して農家の切実な懸念を後回しにしていいはずがない。十分な情報公開、消費者への説明が欠かせないのも当然だ。高市政権には、冷静で科学的な議論を基に、米国に日本の立場を理解させる努力が求められる。


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