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〈社説〉 浜岡不正報告書 なおも原発に拘るのか(東京新聞デジタル - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/15 (Tue) 10:50:26

https://www.tokyo-np.co.jp/article/515534?rct=editorial





 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の地震データ不正に関する調査委員会の報告書を受け、同社は社長、会長の辞任と再稼働審査の申請取り下げを発表したが、あくまで将来の再稼働を目指す方針は崩さなかった。しかし、再申請などの「出直し」にはどれほどの時間、コストがかかるのか。それでもなお原発に拘(こだわ)る合理的な理由が見えてこない。

 中電の不正は、原子力規制委員会への公益通報をきっかけに発覚した。3、4号機の再稼働審査で揺れを小さく見せるために耐震設計の基となる基準地震動(地震の揺れの最大想定)を不正に操作した、などとされる。規制委も調査中だが、今回、中電が設置した外部弁護士による調査委員会の報告書が公表された。

 報告書は、審査のスケジュールが遅れる中、再稼働を急がせる経営層の発言が「圧力」となり、不正の一因になったと認定した。慎重な対応が不可欠な手続きでスピードを優先させれば、不正を誘発しかねないことは容易に想像できる。経営層による不正の指示までは認定されなかったものの、現場を追い込んだ責任は極めて重い。林欣吾社長と勝野哲会長の引責辞任は当然だろう。

 規制委への申請は取り下げの方針で、再稼働はさらに見通せなくなったが、林社長は会見で「あきらめず再申請に向けて取り組む」と述べた。だが、報告書が不正行為ですら正当化する特異な考え方が現場に広がっていた、としたように内部の都合がやすやすと安全倫理を超える企業風土の病巣は根深く、その道のりは極めて険しいと言わざるを得ない。

 浜岡原発は中電で唯一の原発だが、不稼働でも維持費は年間1千億円ともされる。しかも南海トラフ地震の想定震源域に位置し、地震国の日本の中でも特に災害リスクが高い。深く傷ついた信用を回復し、再申請が認められるまでの時間的、経済的なコストを考えれば再稼働を断念し他の電力に注力する道もあろう。合理的な経営判断をすべきだ。

 そもそも、「安全」が、コスト面でも行政手続き面でも極限まで求められるのは、それだけ原発が危険だからだ。それを、短期的な利益を求める民間企業が手がける構図に無理はないか。それでも原発に拘るのか-。原発回帰を進める政府への問いでもある。


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