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沖縄と「国益」を結びつける危うさ…参政党・神谷の応援演説に透ける戦後史の軽視(東京新聞 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/10 (Thu) 11:17:17

沖縄と「国益」を結びつける危うさ…参政党・神谷宗幣代表の応援演説に透ける戦後史の軽視:東京新聞デジタル
https://www.tokyo-np.co.jp/article/514503





 沖縄県知事選(13日投開票)の応援演説で、参政党の神谷宗幣代表が「沖縄をよくすることは国益にかなう」と発言したことが波紋を広げている。神谷氏といえば、太平洋戦争の沖縄戦を巡り「日本軍が沖縄の人を殺したわけじゃない」と述べて軍による加害を否定し、問題になった過去も。沖縄と「国益」を結びつける危うさはどこにあるのか。(佐藤裕介)

◆SNS上で「植民地主義ダダ漏れ発言」との批判も

 神谷氏は6日夜、同県沖縄市内であった参政党や自民党などが推薦する候補者の応援演説で、経済振興の必要などに触れて「沖縄をよくするってことは国益にかなうんです」「参政党は国益を守ることが第一理念」などと発言した。

 神谷氏は「国益」が指す具体的な内容について説明しなかったが、交流サイト(SNS)上では「『国益』とは『戦争になったら犠牲になれ』ということ」と受け止める向きも。「植民地主義ダダ漏れ発言」「やっぱりそういうことだったんだ」との批判も渦巻く。

 この話には前段がある。8月下旬にもSNS上で「国益にかなう沖縄」との文言が記された同じ候補者のポスター風画像が拡散して批判が相次ぎ、陣営が地元紙・琉球新報の取材に関与を否定。NPOの日本ファクトチェックセンターも、画像は陣営が作成した公式のものではなく「生成AI(人工知能)による画像」と公表した。

 なぜ沖縄を「国益」と絡める言説は物議を醸すのか。想起されるのは、日米合わせて20万人にのぼる死者を出した沖縄戦だ。一般県民の犠牲者は9万4000人と県民の4人に1人が犠牲になったとされ、沖縄は本土防衛のための「捨て石」とされた。

◆「歴史を塗り替え、史実を抹消しようとするものだ」

 神谷氏は2025年、「ひめゆりの塔」(糸満市)の展示を「歴史の書き換え」とした自民党の西田昌司参院議員を擁護。「日本軍が沖縄の人を殺したわけじゃない。日本軍にやられたみたいな記述はおかしい」などと述べ、住民殺害などの史実に反する発言をした経緯がある。

 沖縄戦に詳しい沖縄国際大の石原昌家名誉教授は、神谷氏の一連の発言について「『国家のためなら、沖縄はどう取り扱っても良い』との考えが根底にあるようにみえる」と指摘する。体験者たちが悲惨な戦争の記憶を伝える活動を続けてきたなか「歴史を塗り替え、史実を抹消しようとするものだ」と批判する。

 神谷氏の一連の発言は、戦後は日本から切り離されて米国の統治下に置かれた結果、不当に自治を奪われてきた沖縄の歴史の軽視にも映るという。

◆「政府は県民を守らず、米軍を守ろうとしているのではないか」

 同大の佐藤学名誉教授(政治学)は「過重な基地負担と闘ってきた戦後の沖縄社会のあり方を否定している。政党の党首としてありえない」と憤る。一方で「県内でも特に40代以下の若い世代は沖縄の戦後史を知らず、基地問題への関心が低い人も多い。県民が戦後、どれほどの苦労をしてきたかについて、教育の充実が必要ではないか」とも話した。

 県内では、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)と米軍普天間飛行場(宜野湾市)の周辺で発がん性を指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題に絡み、在日米軍が2023年に両基地が汚染源だと日本側に認めていたにもかかわらず、日本政府がこの回答を公表していなかったことも判明している。

 米軍基地の環境リスクを伝えず、沖縄に忍従を強いることもまた「国益」なのか。先の佐藤氏は「日本政府は県民を守らず、米軍を守ろうとしているのではないか」と政府の対応を批判。知事選で求められるリーダー像について「県民の利益をしっかりと国に向かって主張できる人物が必要とされている」と述べた。


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