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大手新聞は書かない、「真相」 米国に完全否定されたサナエノミクスのデタラメ(日刊ゲ - 七転八起 Shichitenhakki

2026/09/03 (Thu) 19:23:19

大手新聞は書かないが、これが「真相」だ 米国に完全否定されたサナエノミクスのデタラメ(日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/392510





 ちょっと前の協調介入の際には「日米通貨同盟の完成形」などと自画自賛していたが、日銀の利上げを迫られ、円安ホクホクも否定されたサナエノミクス。成長も財政規律もとかほざいていたが、インフレ路線の修正を迫られ、債務比率の引き下げも絶望的。さあ、減税や放漫予算の難題をどうクリアするのかけだし見ものだ。

  ◇  ◇  ◇

「長期金利30年ぶり3%」──。

 2日、大手新聞の1面にはこんな見出しが躍っていた。1日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが上昇(国債価格は下落)し、約30年ぶりに3%の大台に乗せた。

 各紙の説明によれば、原因は大きく分けて3つ。1つは、日銀の早期利上げ観測が強まったことだ。極端な円安ドル高を嫌う米国のベッセント財務長官が8月30日、ロイター通信に「(日銀の植田総裁は)正しいことをやる」と発言。植田日銀に対し、暗に利上げを要求した。

 もう1つは、米イランの泥沼の戦争による中東情勢の不安定化を受け、原油価格が上昇し、インフレ懸念が高まったこと。3つ目は、高市政権の2027年度政府予算案を巡って、各省庁の概算要求の一般会計の総額が140兆円を突破。4年連続で過去最大となる見通しになったことである。日銀の利上げ観測にインフレ圧力、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」への不信感の高まりが、国債売りを誘発したわけだ。

 これらの解説はいずれも妥当だろう。ただ、ハッキリと書かれていない真相は別にある。今回の金利上昇の最大の原因は、高市の「責任ある積極財政」そのものに、米国が「NO」を突きつけたことだ。

 例えば、8月31日、米南部ノースカロライナ州アッシュビルで開幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議長を務めるベッセントは、米CNBCテレビのインタビューで「私は市場が持っていない情報を持っている」と、思わせぶりに語った上で「日本政府と日銀は円高につながる措置をとるだろう」と発言。事実上、円安の要因である高市政権の積極財政見直しと、日銀の利上げを要請した格好だ。

■ベッセント米財務長官が政府日銀に物言い

 さらに、G20会合にあわせ、ベッセントは片山財務相と植田総裁と面会。片山は会談後、報道陣に「秩序だった円相場は米国を含む世界の金融市場の安定のために不可欠であり、日米の継続的な協調した取り組みが共通の目的に資することを確認した」と話し、植田は「さまざまなテーマについて、有益な議論を行うことができたが、詳細についてはノーコメント」と口をつぐんだ。

 ところが、ベッセントはG20会議閉幕後の会見で「日本に(財政拡張と金融緩和に前向きな)リフレ政策をやめるべきだと伝えた」と発言。高市の「責任ある積極財政」と低金利策をやめろと突きつけたことを明かしてみせた。

 加えて、1日に驚きのニュースが飛び込んできた。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版の報道によれば、ベッセントが5月の訪日で片山と夕食を共にした際、2時間以上にわたって高市政権の経済政策に対する不満をブチまけていたというのだ。

 ベッセントは高市の一部の経済顧問が、なぜ円安の利点を説いているのかと詰問。円安が行き過ぎていると感じており、トランプ政権にとっても問題だと考えていたという。片山には、日銀が利上げすれば状況が改善すると伝え、「なぜ日銀に独立性が与えられていないのか」とも追及したそうだ。

「4カ月も前の会談の中身が、このタイミングで出てくるのは不自然です。高市政権の積極財政と低金利策を問題視し、何としてでもやめさせたい米国政府の意図の表れではないか、とみられています」(市場関係者)

 この5月の会談でベッセントは片山のほか、高市とも会っている。もともと、植田とも会談する予定だった。ところが、植田がBIS会議でスイスへ出張中だったため、実現に至らずじまい。実は、政府は日銀トップがベッセントから直接、利上げを要請されるのを避けるため、「急きょ、植田氏を海外出張させた」(市場関係者=前出)ともっぱらだ。当時もベッセントはカンカンだったというが、いよいよ本気で手を突っ込んできたわけだ。

■日米協調介入は「友情」「同盟」といった美談ではない

 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

「6月末に高市政権が公表した『骨太の方針』原案で、これまで盛り込まれてきた『財政健全化』の文言が削除されたことなどを受け、日本の長期金利が急上昇。あおりを受ける形で米国の長期金利も高騰しました。約40兆ドルの債務を抱える米国にとっても、長期金利上昇は苦しい。だから、日本に『長期金利の上昇を抑えろ』と圧をかけたわけです。7月下旬に実施された日米両政府による協調介入について、主要メディアは『日米友情の証し』などと報じていましたが、トンデモナイ。協調介入で円高を進行させて日本の物価上昇を抑えることで、長期金利の上昇を防ぐ。米国への悪影響を止めるために協調介入を実施したわけです。それほど、米国は日本の経済に不安を感じているのです」

 あの協調介入について、三村淳財務官は「日米通貨同盟の完成形」などと自画自賛していたが、何のことはない、米国は自らへのリスクを回避したに過ぎなかったわけだ。「友情」とか「日米通貨同盟」みたいな美談ではなく、ベッセントは“迷惑千万のサナエノミクスはもうヤメロ”と突きつけたということだ。

 読売新聞の単独インタビューで高市は、「責任ある積極財政」を巡って「成長と財政規律の両立を目指す」なんてほざいていたが、円安ホクホクを否定され、インフレ路線の修正を迫られた。政府が抱える1400兆円もの債務残高については、インフレで分母の名目GDPを膨らませることによる比率引き下げを狙っているが、それも絶望的だ。米国に完全否定されたいま、高市は「悲願」の消費税減税や放漫予算の難題をどうクリアするのか。けだし見ものである。

■「タカイチはクビだ」と突きつけられる可能性

 慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。

「完全否定されたからといって、高市首相は積極財政を簡単にやめることはできないでしょう。自民党内で彼女を支持しているのは、積極財政派やMMT派ばかりです。掲げた政策を取り下げたり、修正しようものなら一気に求心力を失いかねません。だから、突っ走るしかないのではないか。野党がほぼ雲散霧消していますから、歯止め役もいない。仮に、野党の力が強ければ、高市首相も妥協したふりをしながら、少しずつ積極財政を修正することができたかもしれない。“党内野党”の石破前首相が積極財政や消費税減税に苦言を呈していますが、高市首相が『政敵』の石破氏の言うことを聞くことはないでしょう。結局、円安物価高は続き、長期金利上昇による国債費膨張で予算を組む余力が失われていく。最後に痛い目を見るのは国民です」

 前出の斎藤満氏はこうみる。

「米国ベッタリの高市首相が、彼らの意向を無視して積極財政路線を続けられるかは極めて微妙でしょう。無理に積極財政を進め、またベッセント氏らの怒りを買い、日米関係を壊してしまえば一大事です。最悪、トランプ大統領に『タカイチはクビだ』と見放され、引きずり降ろされる可能性もあります。そんなリスクを取れるのかどうか。まあ、高市首相は引きずり降ろしてもらった方が、日本経済にとってはいいことではあります」

 米国とマーケットに否定され、高市政権は「詰んだ」も同然。デタラメのツケを払わせられることになりそうだ。


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