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トランプ大統領が米国の敗北を認める覚書に署名した事情 《櫻井ジャーナル》 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/06/19 (Fri) 14:42:00

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202606190000/





※転載元リンク箇所あり


 ​ドナルド・トランプ米大統領は6月17日、フランスのベルサイユ宮殿で合意文書(MoU)に署名​してその写真をイラン側へ送付、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領も署名した。それを受け、イラン外務省は覚書の本文が正式に確定、「双方によって署名された」ことを確認した。予定されていたスイスでの署名式は行われない。何らかの妨害工作が行われるという情報があり、式はキャンセルされたようだ。

 覚書の本文は事前に流れていたものと大差はなく、アメリカの降伏文書だという人もいるが、今回の署名は交渉の始まりに過ぎず、最終合意までの道のりは長い。イランにはアメリカとの交渉に反対するグループが存在、アメリカではAIPACのようなシオニスト・ロビーと親イスラエル派議員(つまり大半の議員)が交渉を止めるように迫っている。最終的には​隠されている「ジェフリー・エプスタインのファイル」が明らかにされる可能性もある​。

 しかし、イスラエルとアメリカが2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む指導部を一気に暗殺して開始された戦争はイランの反撃にあい、イスラエルはテルアビブやハイファといった都市が破壊され、情報機関の本部や軍事基地、またディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)も攻撃された。

 西アジアにあるアメリカ軍基地も破壊されたが、その中にはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地なども含まれる。

 3月27日にはサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に駐機していたAWACS(早期警戒管制機)のE-3と2機のEC-130H電子戦機をイラン軍は破壊、KC-135空中給油機複数機も機能不全の状態にした。6月10日にはアメリカ海軍第5艦隊の基地やヨルダンにあるアル・アズラク空軍基地などに対する報復攻撃を実施して管制センターを破壊。同空軍基地に配備されていたF-35戦闘機12機を収容していた格納庫を破壊したことをロシア軍のウラジミル・ポポフ少将が確認している。

 一連の戦闘でイスラエルやアメリカは攻撃用のミサイルやドローン、そして防空用ミサイルが枯渇、戦闘の継続が難しくなったが、重要な軍事施設は地下にあるイランはミサイルやドローンの余裕があり、生産もしている。地上では建造物が破壊され、住民が殺害されているものの、戦闘は継続できる。

 こうした軍事面だけでなく、原油などの輸送が止まったことでアメリカを含む世界は厳しい状況に陥った。​EIA(エネルギー情報局)が公表した最新統計によると、5月15日までの1週間で原油在庫は1780万バレル減少、その結果、戦略石油備蓄(SPR)を含む総貯蔵量はほぼ1年ぶりの低水準まで落ち込んだ​。輸送が再開されなければ、夏には備蓄された石油が底をつくと見られていた。

 アメリカはSPRを高値をつける外国へ振り分けていたようだが、その備蓄が枯渇しつつあるわけで、日本のような国も危機的な状態だった。今回の合意でホルムズ海峡の航行が始まるとしても、原油を積んだタンカーはすでに4カ月ほど経過、原油の状態は悪く、何らかの処理をする必要があり、タンカー自体の状態もチェックしなければならない。

 また到着地で原油を受け入れるタンクが存在しているか、処理するためのプラントを稼働させるためにどの程度の時間が必要かという問題もある。輸送の再開が順調に進んだとしても、戦争前の状態に戻るまでに数カ月は必要だと言われている。

 タンカーの航行が止まった理由のひとつは保険にあった。船の保険を扱っているロイズ・オブ・ロンドンはペルシャ湾とホルムズ海峡の周辺を戦争リスク区域に指定、船体や貨物の保険に割増保険料が課されている。覚書が締結されても保険会社はすぐにこの指定を解除することはない。この指定が解除されるまで、タンカーの航行が元に戻ることはないはずだ。

 数カ月後に状態が元に戻ったとしても、11月の中間選挙が終わった後にトランプ大統領はイランに対する攻撃を再開する可能性がある。戦闘が再開された場合、イスラエルやアメリカ軍の基地はこれまで以上に大きなダメージを受けるが、イスラエルやその背後にいる勢力がそれを望んでいるからだ。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(​3月​、​10月​)。これはネオコンの計画にほかならず、1980年代から彼らはイランを破壊、傀儡体制を樹立しようとしていた。

 イランは中国やロシアとの関係を強化しているが、この3カ国はアメリカやイギリスを支配する私的権力が征服しようと狙っている。これが19世紀から続く長期戦略だということは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。イスラエルはサウジアラビアなどと同様、イギリスの寡頭制支配者が作り上げた国であり、事実上、「航空母艦」として機能してきた。その私的権力はウクライナでロシアを攻撃、そして現在、イランを攻撃している。中国を攻撃する場所は新疆ウイグルと台湾だろう。対中国ということを考えると、マラッカ海峡は無視できない。

 シオニストの一派であるネオコンはイラン、中国、ロシアを征服しようとしてきた。2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフでクーデターを仕掛けたのもその一環。その年にアメリカのCIAとイギリスのMI6は香港で反中国運動を仕掛けた。佔領行動(雨傘運動)だが、そうした工作はロシアと中国を接近させることになった。今では同盟国だ。そこにイランが加わった。

 そうした流れを嫌ったのがヘンリー・キッシンジャー。彼は2016年2月10日にロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談、風向きを変えた。

 2015年当時、民主党ではヒラリー・クリントンを次期大統領候補にすることで内定していた。彼女はオバマのロシア敵視政策を継承していたのだが、バーニー・サンダースの支持者が増え始める。共和党ではドナルド・トランプが台頭、彼はロシアとの関係修復を訴えた。そしてトランプが当選するが、そのトランプを攻撃するために民主党はCIAやFBIと手を組み、「ロシアゲート事件」をでっち上げている。

 このスキャンダルは嘘だということが今では明確になっているが、次の選挙でトランプはジョー・バイデンに敗北、バイデンはロシアとの戦争へ向かった。トランプも大統領時代、ネオコンに従属している。

 ここにきてアメリカでは再びロシアとの関係修復を目指す動きが見られる。​タッカー・カールソン​はプーチン大統領にインタビュー、モスクワを紹介しているが、ここにきてネオコンを批判していることで知られている​キャンディス・オーウェンズ​もロシアを訪問、西側メディアの反露プロパガンダを否定するレポートをしている。次の大統領選挙でロシアとの関係修復を目指す政権が誕生する可能性もある。


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