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米政権の許可を受けてイスラエルはレバノンで大量殺戮を始めると発表《櫻井ジャーナル》 - 七転八起 Shichitenhakki

2026/06/03 (Wed) 13:52:18

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202606030000/





※転載元リンク箇所あり


 ​タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、イスラエルはアメリカに攻撃再開の許可を求めた後、ヒズボラに対する攻撃を再開すると発表した。​ベイルート郊外にある住宅街のダヒヤ地区を攻撃するという。これまでイスラエル軍が全くレバノンを攻撃していなかったわけではなく、攻撃は激化されるということだ。

 イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相はレバノンを含むあらゆる戦線での敵対行為の即時停止がイランとアメリカの停戦に含まれていると指摘、​タスニム通信によると、イランの交渉チームはイスラエル軍によるレバノンに対する軍事作戦の継続を批判、仲介役のパキスタンを通じたアメリカとのテキストによるメッセージのやり取りを停止した​という。

 レバノンでの停戦はあらゆる交渉の前提条件であり、その前提条件が守られていない以上、交渉は継続されないということだ。イスラエル軍がレバノンでの作戦を停止し、レバノン領土から撤退するまで交渉は再開しないとイランの交渉担当者は述べている。段階的に緩和されてきたホルムズ海峡の封鎖も再び強化されそうだ。

 ホルムズ海峡の航行が難しくなり、世界の原油供給量は約2割減ったと言われている。供給量が減っているため相場は上昇しているものの、今のところ備蓄された石油がクッションになっている。真の逼迫は今後数週間以内に起こると見られている。

 レバノンに対するイスラエルの攻撃についてロシアのワシリー・ネベンジア国連大使は安全保障理事会で厳しく批判、アメリカが仲介した停戦は「忍び寄る侵略の煙幕」になっていると主張した。ガザと同じようにレバノンでも「焦土作戦」を実行しているとしているが、これは事実だ。ウクライナのクーデター政権の軍事力を高めるためにNATO諸国が行なったことと同じだとも言える。

 本ブログでも繰り返し書いてきたが、戦争を終結させる条件としてイランが求めている項目は一貫している。ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を含むシオニストの一派はナイル川からユーフラテス川に至る「大イスラエル」を創設するという「歴史的かつ精神的な使命」を主張してきた。

 この人物は2023年10月7日にハマス(イスラム抵抗運動)を中心とするパレスチナの武装グループがイスラエルを奇襲攻撃した直後、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出してパレスチナ人虐殺を正当化している。

 ​聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねた​のだ。

 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたとされている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行ってきたことであり、西アジア全域で実行しようとしていることだ。

 ベンヤミン・ネタニヤフはウラジミール・ジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れを汲む。ジャボチンスキーは1940年にアメリカで心臓発作のために死亡したが、アメリカ時代に彼の秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフはベンヤミン・ネタニヤフの父親にほかならない。

 その後、ジャボチンスキーの信奉者がユダヤ人社会で主流派になったわけではないが、1970年代に福音派キリスト教徒、キリスト教原理主義者、あるいは聖書根本主義者と呼ばれているグループに支援されて勢力を拡大させた。アメリカでネオコンが台頭するのと同じタイミングである。

 このキリスト教の一派が掲げる教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。

 ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていて、「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」。この信仰体系は天啓的史観と呼ばれている。(グレース・ハルセル著、越智道雄訳、「核戦争を待望する人びと」、朝日選書、1989年)ドナルド・トランプ政権でスピリチャル顧問を務めるポーラ・ホワイト-ケインもテレビ説教師のひとりだ。

 また、マザー・ジョーンズ誌の2002年9月/10月号に掲載されたレポートによると、聖書根本主義派はエド・マクティールを中心に活動、ジェリー・フォルウエルをロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ上院議員、そして現司法長官のジョン・アシュクロフトと引き合わせたのもこの人物だ。ポール・ウォルフォウィッツやダグラス・フェイスのようなネオコンと福音派キリスト教徒は緊密な関係にある。(MOTHER JONES, September / October 2002)

 イスラエルの「建国」は1948年5月14日、シオニストによって宣言された。シオニストとはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという「シオニズム運動」の信奉者だ。

 シオニズムという用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウム。近代シオニズムの創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルだ。

 しかし、その背後にはイギリスの強大な私的権力が存在していた。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設、イギリスの首相としてベンジャミン・ディズレーリは75年にスエズ運河運河を買収しているが、その際に資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018)

 ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。

 イギリスは第1次世界大戦(1914年7月から18年11月)の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を結んでいる。オスマン帝国を解体し、両国で分割することを決めていたのだ。これは秘密協定だったが、ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出されたのである。

 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。

 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。

 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。

 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。

 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。

 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。

 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。

 イギリスが中東支配を始めた理由には軍事的、あるいは経済的な側面があるが、それだけでなく宗教的な理由もあった。

 16世紀になると、イギリスでは自分たちを古代イスラエルの「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。そのひとりがスチュワート朝のジェームズ6世で、自分はイスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。

 旧約聖書の記述によると、イスラエル民族の始祖はヤコブだとされている。彼には12人の息子があり、それぞれ支族を形成、そのうちユダ族とベニヤミン族の後裔とされる人びとが「ユダヤ人」と呼ばれているのだ。残りは行方不明で、旧約聖書を信じる人びとから「失われた十支族」と呼ばれているのだが、その話は神話であり、史実に基づいているのかどうかは不明である。

 旧約聖書が主張したかったのはユダヤ族とベニヤミン族が「ユダヤ人」だということだが、後の時代にある種の人びとは自分たちの妄想を「失われた十支族」という話の中に投影させたということだろう。

 ところで、クロムウェルはキリストの再臨を信じ、「道徳的純粋さ」を達成しようと考え、ユダヤ人は離散した後にパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建すると考えていたという。

 シオニズムを生み出し、イスラエルを作り上げたのはイングランドの寡頭体制を支配する強大な私的権力であり、イスラエルはその私的権力に操られているだけである。トランプ大統領もその私的権力に操られている。その勢力はウクライナでロシアに、また西アジアではイランに敗北した。トランプ大統領はその責任をネタニヤフ首相に押し付けようとしているように見える。


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